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「刑事ゆがみ」あらすじ
弓神適当(浅野忠信)はうきよ署強行犯係の刑事。適当でだらしなく、人と一緒に行動することを嫌う変わり者だ。だが、ひとたび事件の捜査になると、常識やレッテルに惑わされず、ただひたすらに真実を追い求める男だった。
そんな弓神とバディを組むのは、上昇志向と正義感が強い若手刑事の羽生虎夫(神木隆之介)。早く出世したいと考える羽生にとって、違法捜査もお構いなしの弓神はやっかいな存在だ。弓神とは同期でもある強行犯係係長の菅能理香(稲森いずみ)も自分勝手な弓神には手を焼いていた。
ある日、女子大生の押田マイ(小倉優香)が、歩道橋下で仰向けに死んでいるのが発見される。死亡推定時刻は深夜1時。マイは酒を飲んで帰宅途中に、誤って階段から転落した可能性が高かった。が、死体を見て何かを感じた弓神は、羽生を巻き込んで勝手に捜査を始めてしまう。
弓神は、ハッカーの“ヒズミ”こと氷川和美(山本美月)からも情報を得て、事件当日、マイと一緒に飲んでいた友人・倉間藍子(大後寿々花)に会いに行く。すると藍子は、1週間ほど前にマイが電車内で痴漢した男を捕まえたこと、男から現金を受け取り警察には届けなかったこと、そして、その夜から嫌がらせを受け始めたことを打ち明ける。
弓神たちは、痴漢騒動があったうきよ台駅を訪れ、当日勤務していた駅員・坂木望(杉咲花)から話を聞く。望とは中学時代の同級生だった羽生は、思わぬ再会に心が躍る。やがて、弓神と羽生は坂木の協力を得て、痴漢疑惑の男・沢谷(岡田義徳)を発見するが…。
うきよ署強行犯係の弓神(浅野忠信)は、相棒の羽生(神木隆之介)らとともに、中学校の国語教師・早杉千里(水野美紀)が襲われた強姦未遂事件の捜査を始める。事件は、千里が自宅アパートで仮眠中に、窓から侵入した男が彼女を襲おうとした、というものだった。そこに、千里が勤務する中学校で教育実習をしていた大学生・打越将也(中川大志)が訪ねてきて、犯人と争いになったのだという。千里は、犯人が振り回した花瓶で右腕を負傷。犯人を追おうとした打越は、花瓶の水で足を滑らせてベッドの角で頭を強打し、意識不明の重体で病院に搬送されていた。
だが、千里は、事件を忘れたい、といって被害届も出さず、捜査協力を拒んでいた。菅能(稲森いずみ)は、法改正で強制性交等罪の非親告罪化が決定したことを千里に告げて捜査を開始する。が、千里の教師という立場も考慮し、不法侵入と傷害事件として捜査するよう指示する。
一方、千里と打越の経歴を調べた弓神は、ふたりが教師と教え子の関係性だったことに気付く。
ほどなく、現場に残されていた足跡から犯人の靴が特定され、ある人物が捜査線上に浮かんでくる…。
弓神(浅野忠信)や羽生(神木隆之介)らうきよ署の面々は、今月末で定年を迎え、退官する真下誠(寺脇康文)巡査部長の退職辞令交付式に出席する。真下はその誠実で熱心な仕事ぶりから地元住民に慕われていた。交番勤務のころに世話になった羽生も、真下ことを警察官の鏡だと尊敬していた。
それから数日後、山菜採りで裏山を訪れた老夫婦が、頭から血を流して倒れている男性を発見する。それは、真下だった。真下は、何者かに頭部を殴打され、意識不明のまま病院に搬送されていた。事件現場では、無数の足跡と、2トントラックがUターンしたと思われるタイヤ痕、そして耐寒用手袋が片方だけ落ちていた。「こんな誰からも慕われる人に酷いことをしたやつは誰だ…」。弓神とともに真下が入院している病院を訪れた羽生は、必ず自分の手で犯人を捕まえると誓う。その際、弓神は、真下のリュックの中から大きな木が描かれたスケッチブックを見つけていた。するとそこに、真下の娘・唯香(佐藤玲)が訪ねてくる。真下は4人家族だった。が、真下の妻は、唯香が小学生のときに病気で他界しており、唯香の7つ上の姉・静香(小野花梨)は、高校を中退して家を飛び出したきり音信不通状態で、現在家族は唯香一人だった。
そんな折、病院に真下の容体をしつこく尋ねる不審な男が現れる。病院の防犯カメラには作業着の男の姿が映っていた。菅能(稲森いずみ)らは、防犯カメラの映像をもとに犯行時刻に山に出入りしていたトラック10台を絞り込んでいた。その中の1台に目を付けた羽生は、病院に現れた作業着の男・堀田剛(柳俊太郎)にたどり着き、彼の身柄を拘束するが…。
うきよ署強行犯係の弓神(浅野忠信)、羽生(神木隆之介)らは、完成間近のデザイナーズビルで起きた男性の転落死について調べ始める。死亡したのはこのビルの設計も手がけた建築士の大山昇(姜暢雄)。現場にいた警備員(前野朋哉)によれば、外階段で人が争う声が聞こえたため確認に行くと、そこに高遠建設の社員・堤祥子(高梨臨)と高遠玲奈(池端レイナ)がいたという。階段下にはすでに大山が倒れていたらしい。
祥子と玲奈は同期。玲奈は、高遠建設の社長令嬢で、大山の婚約者でもあった。菅能(稲森いずみ)たちが祥子と玲奈からそれぞれ事情を聞くと、ふたりの話は警備員の証言とも一致していた。玲奈と大山がこっそりビルの完成祝いをしようしたところに、話があるといって祥子が現れたという。祥子は、大山が玲奈と付き合う前に、一晩だけ関係を持ったが、それ以来大山のストーカー行為に苦しんでいた。祥子は、相談しても信じなかった玲奈に、ホテルでの写真を見せてストーカー行為を止めさせようとしたらしい。その際、大山は、玲奈に上階で待つよう頼み、祥子とふたりだけで話そうとしたという。だが、争う声が聞こえたために玲奈が下に降りてみると、外階段の踊り場で大山が祥子を押さえつけており、祥子が大山を振り払った際にバランスを崩して転落したらしい。
正当防衛だと主張する祥子に現段階では判断できないと弓神が答えると、祥子は、そもそも以前大山のストーカーに悩み警察に相談したのに、その時の交番の警官にまともに取り合ってもらえなかったと怒り出す。実はそのとき応対をしたのは、交番勤務時代の羽生で…。
弓神(浅野忠信)と羽生(神木隆之介)は、花道署からの要請で誘拐事件の捜査に協力する。誘拐されたのは、前花道市長を父に持つ宇津巻京子(板谷由夏)と、婿で市会議員の誠治(丸山智己)のひとり娘・真利奈(後藤由依良)。弓神に協力要請があったのは、誘拐現場にカタツムリのマークが残されていたからだった。
カタツムリのマーク――それは、7年前、花道署管内で起きた異質な殺人事件に関係する。ある夫婦が殺害され、生き残ったのは幼いひとり娘のみ。事件が異質だったのは、事件内容が小説に酷似していたためで、小説『ロイコ』の名前を取って、ロイコ事件と呼ばれた。ロイコとは、『ロイコクロリディウム』の略で、カタツムリに寄生し、脳まで支配する寄生虫のこと。『ロイコ』は、主人公が殺人鬼に寄生されて心を操られ、殺人を犯していくという物語だった。そして、現場にはカタツムリのマークが残されていた。
事件が起きたことで『ロイコ』はベストセラーになった。が、実は犯人は作者の横島不二実だった。横島は逮捕前に焼身自殺してしまったが、彼を追い詰めたのが弓神だった。
弓神は、喫茶店にいるヒズミ(山本美月)を麻薬の密売人だと偽り、羽生にマークさせると、単身宇津巻邸へと向かった。そこで花道署の刑事・久松(木下ほうか)と合流した弓神は、『ロイコ』の発禁運動で先頭に立ったのが、前市長の宇津巻喜平だと知る。
同じころ、喫茶店のテレビを見ていたヒズミは、誘拐事件の報道でカタツムリの絵を見た途端に動揺し、店を飛び出す。そんな中、誘拐犯から、京子と誠治に身代金を持って指定の場所に来るよう連絡が入り…。
弓神(浅野忠信)や羽生(神木隆之介)らは、総資産300億円を誇る若きIT企業家・貝取勝平(新田真剣佑)を狙った傷害事件を捜査する。事件は、貝取が来週オープンさせる予定だったプラネタリウムで起きた。貝取をプラネタリウムまで送り届けた運転手が、指示された通り深夜0時に迎えに行くと、彼が血を流して倒れていたという。貝取は、サプライズ企画の準備でプラネタリムを訪れることをSNSに投稿していた。弓神と羽生は、意識を取り戻した貝取に会いに行く。だが貝取は、イヤホンで音楽を聴いていて振り向いたらいきなり刺されたため、犯人の顔は見ていないという。
強引な企業買収を繰り返す貝取は、多くの人間から恨みを買っていた。そのひとりが、望遠鏡メーカー『スタームーン』の創業者・星月亘(辻萬長)だ。事件現場のプラネタリウムもこの会社が携わっていたが、貝取が出資話を白紙に戻したせいで倒産し、社長だった星月の息子・晃介は借金苦で自殺していた。
弓神たちが星月から話を聞くと、事件発生時刻は酒を飲んで寝ていたという。孫娘の光希(新井美羽)の証言も同じだった。その際羽生は、モンスターを集めて遊ぶゲームアプリ『モンコレ』がきっかけで光希と仲良くなる。そんな中、弓神たちは、貝取が『モンコレ』人気で急成長した『テンドーカンパニー』の買収も目論んでいたと知り、社長の天堂英里(MEGUMI)に会いに行くが…。
弓神(浅野忠信)や羽生(神木隆之介)らは、菅能(稲森いずみ)の親友・近江絵里子(りょう)が服毒死した事件を捜査する。 前夜、大学時代の同窓会に出席した菅能は、そこで久しぶりに絵里子と再会していた。現在の彼女は一流デザイン会社の管理職で、来年にも年下のイケメン実業家と結婚する予定だという。SNSにアップされた幸せそうな写真を見せられた菅能は、「裏切り者。若い男になびきやがって」と言いながらも、彼女を祝福したばかりだった。
そんな絵里子が自宅マンションで死亡したのは菅能と別れた直後のことで、発見者は警察官だった。実は絵里子は、1ヵ月ほど前に300万円をひったくられており、その件で確認に来たのだという。死因は青酸カリによる服毒死と思われた。
絵里子が自殺するはずはないと考えた菅能は、弓神たちに交友関係を徹底的に洗うよう指示した。すると、絵里子は左遷されたことがきっかけで、3ヵ月も前に会社を辞めていたことが判明する。
やがて、最近絵里子と親密だった三枝優里(早見あかり)に辿り着く。すると、絵里子には誰にも言えなかった秘密があることが発覚し…
好きだった競走馬の引退を知って落ち込む弓神(浅野忠信)は、憂さ晴らしに羽生(神木隆之介)を連れてキャバクラに行く。馬の話ばかりして呆れられる弓神とは対照的に、キャバクラ嬢のキララ(久松郁実)たちからおだてられ、調子に乗って酒を飲む羽生。そこに猿渡愛実(市川由衣)がやってくる。弓神は、かつて愛実を窃盗容疑で逮捕したことがあった。愛実は、すっかり犯罪からは足を洗い、児童養護施設にいるひとり息子の実(吉沢太陽)と一緒に暮らすことを夢見て、キャバクラ嬢をしながら昼の仕事を探しているという。
それから数日後、愛実が高級マンションの敷地内で死体となって発見される。その手には180万円もの現金が握られていた。愛実は、このマンションでひとり暮らしをしている元銀行員の資産家・沼田徹(小林隆)の部屋から現金を盗み、逃げようとした際にベランダから転落した可能性が高かった。ただ、現金が戻り、沼田も被害届は出さないと言っているため、今回の一件は事故扱いになるという。
しかし弓神は、愛実が誰にも気づかれずに少額を盗むことから“透明人間”という異名を持っていたことや、彼女が弓神に窃盗に手を染めないと誓った様子から、彼女の死に不審を抱く。
そんな中、うきよ署強行犯係は、県警本部の須崎警視が指揮を執る高齢者を狙った詐欺事件の捜査に協力することになった。が、おとり捜査の最中、現金の受け子として現場に現れたのは…。
資産家の元医師が自宅で変死体となって発見され、弓神(浅野忠信)や羽生(神木隆之介)らは現場へと急行する。被害者の薮田恒男(渡辺哲)は、熱湯が張られた風呂の中で、体に無数の傷やあざをつけられるという異様な方法で殺されていた。屋敷内の金庫の中身や高価な美術品は盗まれておらず、薮田の上着から「積年の恨み、ここに晴らす」と書かれたノートの切れ端が見つかっていたことからも、怨恨の線で捜査は進む。
薮田家に通う家政婦で、死体の第一発見者でもある石崎春菜(二階堂ふみ)によれば、薮田は随分前に妻の波江(仁科亜季子)とも別れ、息子もすでに他界しているという。薮田は友人もなく、ずっと家に籠っていたらしい。そんな中、菅能(稲森いずみ)は、今回と似た事件を捜査した気がする、と言い出す。ほどなくそれは、横島不二実の未完小説『聖なる夜空にサンタが舞う』と酷似していたからだと気づく。横島は小説そっくりの殺人事件を自作自演した『ロイコ事件』の犯人であり、焼身自殺をとげた人物である。
一方、『聖なる夜空〜』は、度重なる親の虐待に苦しんだ息子が、失踪の後に復讐する物語で、作中でも父親は風呂場で死んでいた。薮田の息子・晴男(鹿間康秀)も、医学部受験に失敗したことを厳しく責められて家出をしており、戸籍上は認定死亡となっていた。息子の父に対する復讐なのか…だが、この一致に興奮気味の菅能や羽生とは対照的に、何故か弓神はやる気を見せず…。
弓神(浅野忠信)は、ヒズミ(山本美月)が意識不明のまま収容された病院に現れたのを最後に、羽生(神木隆之介)たちの前から姿を消す。
うきよ署では、ドライブレコーダーの映像などから、資産家の元医師・薮田恒男(渡辺哲)を殺害したのは、死んでいるはずの作家・横島不二実(オダギリジョー)であると断定し、捜査を開始する。横島は、7年前に自らの小説『ロイコ』になぞられた殺人事件を自演し、河合武(渋川清彦)・伊代(酒井美紀)夫妻を殺害していた。そのときに生き残ったひとり娘がヒズミだった。横島は、逮捕される直前に焼身自殺したはずだった。だが、その死は、弓神によって偽装された可能性が高かった。
それから数日後、ヒズミが突然病院からいなくなる。筆談用のボードには「もう元気になりました」という文字と、ロイコ事件で殺害現場に残されていたものと同じカタツムリのマークが描かれていた。
同じころ、漫画喫茶にいた弓神は、『ロイコの部屋』サイトで、「空飛ぶサンタを見たい人募集。豪傑で強靭な男性優遇」という募集告知を見つける。横島が書いた小説『聖なる夜空にサンタが舞う』の中にも、「豪傑で強靭な男たちがやってきて、その刑事を襲った」という描写があった。
弓神の行方を追っていた羽生は、漫画喫茶でようやく彼の身柄を拘束する。そこで弓神は、横島がまだ犯行を続ける気でいることを羽生に告げた。
「お前か俺のどっちかが狙われているんだよ」と――。
「刑事ゆがみ」キャスト
弓神適当:浅野忠信
うきよ署刑事課強行犯係所属。
普段は適当でだらしなく、人と一緒に行動するのが嫌い。
事件の捜査になると鋭い観察眼で犯罪者たちのゆがんだ心を見抜いていく。
羽生虎夫:神木隆之介
うきよ署刑事課強行犯係所属。
正義感が強く出世欲もあり腹黒い。几帳面なタイプ。
弓神の勝手な行動をサポート。
氷川和美(ヒズミ):山本美月
ハッカー。弓神の協力者。
多々木挙男:仁科貴
うきよ署刑事課強行犯係所属。
町尾守:橋本淳
うきよ署刑事課強行犯係所属。
菅能理香:稲森いずみ
うきよ署刑事課強行犯係長。
弓神とは同期。
まとめ
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