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「拝啓、父上様」とは?
2007年1月11日から3月22日まで放送されていたドラマ「拝啓、父上様」。
このドラマは東京の神楽坂にある老舗料亭が舞台となり、そこで関わる人々や出来事が描かれた人情ドラマとなっており、二宮和也が主演を務めまし。
倉本聰の新作連続ドラマ
東京・神楽坂の老舗料亭を舞台に繰り広げる“人情コメディー”
古き良き日本の伝統が残る花柳界・神楽坂。
江戸情緒が今なお残るこの魅力的な街を舞台に、市井に生きる人々の日常の笑いや涙、人と人との絆(きずな)を粋に描く、倉本ドラマの真骨頂ともいうべき“人情コメディードラマ”。
神楽坂にある老舗料亭「坂下」の土地売却や、時代の流れに飲み込まれていく裏路地の変貌(へんぼう)をめぐって物語は展開します。
活気溢れる商店街や料亭の板場で巻き起こる、日常の悲哀、失われつつある徒弟制度を、主人公である板前・一平の目を通してテンポよく描いていきます。
また、一平の父親探しもドラマの根底に流れます。
一途に板前道に励むまじめな青年・一平役には、『優しい時間』でナイーブな青年を好演した二宮和也。世界配給が決定したアニメ映画「鉄コン筋クリート」で声優に初挑戦したり、クリント・イーストウッド監督映画『硫黄島からの手紙』では、若い日本兵を熱演し話題になるなど活躍の場を世界に広げ、歌手だけでなく、俳優としても今最も期待される人物です。
元神楽坂一の人気芸者でシングルマザー・一平の母には高島礼子。料亭の大女将に八千草薫、花板に梅宮辰夫、若女将に岸本加世子、その婿養子に高橋克実というベテラン勢に、一平が一目ぼれする謎の少女に黒木メイサ、後輩の板前に横山裕、料亭のひとり娘に福田沙紀という、注目の若手を交えお届けします。
豪華キャストと『優しい時間』のスタッフが総力を挙げてお贈りする、笑いあり涙ありの人情コメディードラマ。神楽坂を舞台にお届けする“倉本ワールド”にどうぞご期待ください。
早朝の静かな東京・神楽坂。田原一平(二宮和也)の運転する車に乗り込む小宮竜次(梅宮辰夫)と坂下保(高橋克実)。3人が向かったのは築地市場だ。喧騒の中、竜次が品を選び、保がノートに記入、一平が運ぶといった慣れた段取りで食材を仕入れていく3人。
神楽坂にある老舗料亭「坂下」では、朝の仕込みが始まった。花板の竜次を中心に保と一平が黙々と手を動かす板場で、若女将の坂下律子(岸本加世子)が予約の変更と板前見習いが来ることを告げていると、大女将の坂下夢子(八千草薫)が顔を出す。時間になったら見習いを迎えに行くように頼む夢子に律子は地図を持たせてるから大丈夫だと一喝。現在、「坂下」の実権は律子が握っているのだ。しばらくすると一平の母であり近くでバー「ゆきの」を営む田原雪乃(高島礼子)がやってきた。あいさつだけすると早々に夢子の部屋へ向かった雪乃は、夢子に熊沢清次郎(小林桂樹)が倒れて病院に運ばれたことを耳打ちする。熊沢とは引退した今も政界の怪物といわれる大物で、夢子にとっても、「坂下」にとっても大切な人なだけに夢子は心配する。だが、夢子は律子には黙っているようにと雪乃に口止めするのだった。
昼。「坂下」の松の間には神楽坂に住む長老たちが顔をつき合わせていた。建設会社が打ち出している高層マンション建設反対策を考える長老たちに、熊沢への口利きをお願いされる夢子だが言葉を濁す。
昼の忙しさがひと段落し、コインランドリーで洗濯をしていた一平に、律子から見習いが迷子になったから迎えに行くようにと電話が入る。一平に案内され「坂下」にやって来た中川時夫(横山裕)は、その夜からさっそく皿洗いとして板場に入る。忙しさに圧倒されつつも、一平から律子と保の娘・エリ(福田沙紀)を紹介されると、そのかわいさに舞い上がるのんきな時夫。同じ頃、夢子に部屋に呼ばれた竜次は熊沢の病気について打ち明けられる。そこに熊沢が竜次に極秘で会いたいとの電話が入る。病院に向かった竜次は、熊沢からあるお願いをされる。
翌日、雪乃から呼び出された一平は、「坂下」存続の危機を知らされ動揺する。そして、回避するために周囲には秘密で夢子とメールをやりとりするように頼まれ、雪乃に強引に携帯電話を奪われメールを送られてしまう。一平は仕方なく引き受けることに…。
そんな一平だが、「坂下」の裏で出会ったフランス語をしゃべる美しい少女(黒木メイサ)に見惚れてしまい…。
「坂下」が休みの日曜。田原一平(二宮和也)が目を覚ますと、テレビでは政界の怪物と呼ばれる熊沢清次郎(小林桂樹)の危篤の話題が繰り返し報道されていた。テレビを複雑な思いで見つめる一平は、画面の中に1人の男性を発見する。喫茶店「ルオー」のマスター、ルオー(久保隆徳)だ。マスコミの取材画面にさりげなく映りこむことを趣味とするルオーに、さっそく報告に向かう一平だが、「ルオー」で田原雪乃(高島礼子)の旧友であり現役芸者の浮江(木村多江)とことえ(池津祥子)と遭遇してしまう。2人に散々からかわれ、ほとほと困っている一平の元に坂下夢子(八千草薫)から「すぐに来て」とメールが届いた。慌てて「坂下」に戻る一平。
夢子は小さな包みを一平に渡し、それを熊沢が入院している東済会病院の看護師長に届けて欲しいと頼む。厳重な警戒を理由に一度は断る一平だが、包みの中がお守りで自分で届けることができない夢子の気持ちを察して引き受けることにする。緊張しつつもなんとか包みを渡し、病院を後にする一平は、マスコミの取材陣に囲まれている衆議院議員の真田公正(小野武彦)を見かける。自分の父親候補の1人である真田を苦々しく見つめる一平。一方、真田は取材陣を振り切り、小さな喫茶店へ潜り込む。そこに待っていたのは、坂下律子(岸本加世子)で…。
夢子に報告を終え「坂下」から帰ろうとする一平を、今度は坂下エリ(福田沙紀)が呼び止めた。街を歩きながら、誘われたことにドキドキする一平だが、エリは真剣な表情だ。赤城神社に着くと「おじいちゃん(熊沢)が危篤なのに、会いにも行けないのはおかしい!!」と、一平に向かいすごい剣幕でまくし立てるエリ。どう答えていいのかわからず、戸惑いながらも我慢するしかないと答えた一平に、エリは「つまんない大人!」と捨てゼリフを残して去っていった。その言葉に落ち込む一平。夕方、銭湯で中川時夫(横山裕)と会った一平は、雪乃に会いたいという時夫を連れてバー「ゆきの」へ向かった。ところが、しばらくすると時夫の携帯電話が鳴り、何かを話したと思ったら時夫は1人で先に帰ってしまう。2人きりになった一平は、雪乃に父親のことを問いただす。
翌日。「坂下」で朝の仕込み中、相談があると坂下保(高橋克実)が小宮竜次(梅宮辰夫)を呼び出し、2人が板場をはずしていると、仲居のしのぶ(黒瀬友美)が一平を手招きした。昨晩、神社で時夫とエリが会っていたのを見たというしのぶの話に驚く一平。その夜、「坂下」に、熊沢が亡くなったとの連絡が入り…。
熊沢清次郎(小林桂樹)が亡くなってから数日の「坂下」は、いつもと違う静かな雰囲気が流れていた。田原一平(二宮和也)らが坂下夢子(八千草薫)たちの気持ちを考えてのことだ。事情を知らずにいつものように大声で話す中川時夫(横山裕)に熊沢と夢子や「坂下」との関係を説明する一平。すると、先日、時夫が坂下エリ(福田沙紀)と会っていたのは「肉親が死んでもかけつけないのはどう思うか」という相談を受けたのだという。一平は時夫とエリの間に何もなかったと知り安心するが、つけ上がる時夫を嗜める。
ある日、「坂下」に出版社の文草社から予約が入った。売れっ子作家の津山冬彦(奥田瑛二)も来ると聞き、大喜びの松子(高橋史子)。喫茶店「ルオー」でも津山が話題になっていた。テレビや雑誌にさりげなく映りこむのが趣味のルオー(久保隆徳)は、今日、津山が神楽坂で雑誌の撮影をするとの情報を聞き、いてもたってもいられずソワソワ。そこに坂下保(高橋克実)と組合長の中込(渡辺哲)と南(森富士夫)がやって来た。奥の座席に座るやいなや、保にマンション建設を計画している竹地建設やイースト証券と「坂下」の関係を問う中込。イースト証券はお客様だと話す保に、中込は「坂下」の土地がマンション用地として売却予定との噂が流れていることを話した。寝耳に水の話に保は驚くばかりだ。
同じ頃、床屋にいた小宮竜次(梅宮辰夫)に夢子から電話が入った。熊沢の正妻(森光子)から今から行きますとの電話を受けて、激しくうろたえている夢子は竜次に一刻も早く戻ってくるようにお願いし、さらに一平にも連絡。時夫を連れて「坂下」の杉の間の庭で待機するようにお願いする。やがて「坂下」に熊沢の正妻がやって来る。対面する夢子は…。
その夜、「坂下」の津山の座敷には夢子や浮葉(木村多江)やことえ(池津祥子)の姿が。夢子の鼓も披露され、津山も20年ぶりの「坂下」に楽しそうだ。
店が閉まると、一平は若女将・坂下律子(岸本加世子)に呼ばれた。いつまでも狭いアパートで時夫と2人でいるのは大変だろうと新しい部屋を紹介する律子。喜ぶ一平だが、渡されたアパートのパンフレットにはある文字が書かれていたのには気付かなかった…。
その後、竜次に誘われて一緒に飲みに行った一平だが、時を同じにして「坂下」では夢子と律子、保が顔を突き合わせていて…。
朝4時20分。目を覚ました田原一平(二宮和也)は隣りで眠っている中川時夫(横山裕)の寝言を聞きながら、昨晩居酒屋で客が話していた作家の津山冬彦(奥田瑛二)が母親の田原雪乃(高島礼子)と付き合っていたという噂話を思い出していた。その日の市場への仕入れは、急用で来られないという坂下保(高橋克実)をのぞいた小宮竜次(梅宮辰夫)と一平と時夫で向かうことに。
「坂下」ではいつもの朝が始まった。板場で仲居たちにてきぱきと指示を出す坂下律子(岸本加世子)だが、そこに娘のエリ(福田沙紀)が飛び込んできた。取り乱し、保や律子の制止も聞かず坂下夢子(八千草薫)が家出したことを叫ぶエリに律子は思わず手をあげてしまう。板場が騒然とする中、エリを連れ竜次と保が奥へ引っ込んだのを見計らい一平は夢子にメールを打つが…。
昼になり、杉の間には家族のほかに雪乃や浮葉(木村多江)、ことえ(池津祥子)、鳶のシャク半こと半次郎(松重豊)ら夢子を心配する面々が集まっていた。夢子の友人や知人に電話であたるも行方がわからず、シャク半からは自殺の可能性をほのめかす言葉も飛び出し一同が焦っていると、エリが夢子が巣鴨によく占いに通っていたことを思い出す。竜次に言われ、一平もエリと共に巣鴨へ夢子を探しに行くことに。
巣鴨に着くと、おばさんの大群にただただ圧倒されている一平とは反対に軽快に足を進めるエリ。占い師(余貴美子)の元へ行き夢子の写真を見せると、4~5日前に来たっきりだと言う。家出したことを話すと、行方を占い始めるがその答えは…。さらに占い師は一平の顔を見てたずね人がいることを言い当てた。そしてその人のことはくよくよ考えないこととアドバイスをおくるが、一平にはたずね人が父親と謎の少女(黒木メイサ)のどちらを指しているのかがわからずにいた。
その夜、「坂下」は相変わらずの忙しさだったが夢子からの連絡が入ることはなかった。店が終わると、控え室は仲居たちが夢子の家出の原因となった「坂下」売却の話で持ちきりだ。通りかかった竜次に「憶測で話すな」と一喝され帰っていく仲居たち。一平は雪乃に呼ばれて、どうしても付いて行くという時夫と一緒にバー「ゆき乃」に出向いた。「ゆき乃」では、浮葉やことえらが律子への怒りを愚痴りながらも連絡のない夢子を心配していた。そんな中、雪乃はお願いがあると一平を店の二階に呼んだ。二階へ上がると、雪乃は声を出さないように一平に注意をしてそっとふすまを開けた。そこには…。
坂下夢子(八千草薫)の部屋でうつむきうなだれている田原一平(二宮和也)と、一平を取り囲んでいる坂下律子(岸本加世子)、保(高橋克実)、エリ(福田沙紀)、小宮竜次(梅宮辰夫)、シャク半(松重豊)。そもそも家出をした夢子を田原雪乃(高島礼子)がかくまい、夢子が一平に自分の部屋から現金とカードを取ってきて欲しいと頼んだことが事の発端で、部屋に忍び込んだもののエリに見つかってしまったのだ。
夢子に頼まれての行動であることは釈明したものの、いつどうやって頼まれたのか、今どこにいるのかと激しい口調での質問には一切答えることなく沈黙を通す一平に律子がキレた。律子は「明日から店には来なくていい」と言い放ち、シャク半も一平に殴りかかる。仲裁に入った竜次は一平を控室へ連れ出すと、「坂下」の経営が苦しくなっていることや律子がそれを1人で背負っている状況を話して聞かせた。そのうえで夢子をかくまっているのは雪乃じゃないかと問う竜次に「雪乃ちゃんを責めないでください」とかばいながら静かにうなずく一平。
一平が竜次に連れられバー「ゆき乃」に現れたことで、状況を察し観念した雪乃。二階では一平の帰りを待っていた夢子が入ってきた竜次の姿を見て驚くも、竜次に諭され帰宅することになった。二階から降りてきた夢子に唖然とする浮葉(木村多江)、ことえ(池津祥子)、中川時夫(横山裕)にここで見たことは内緒にするよう口止めすると竜次は一平を残して夢子と「坂下」へ戻って行った。
夢子を隠し通した雪乃の度胸に感心している時夫とは反対に、激しく落ち込む一平はアパートに戻ると退職願を書いて時夫に託した。
翌日、「坂下」に行かない一平はゆっくりと起き出し憂鬱な気持ちを抱えたまま神楽坂の街をぶらぶらと歩く。本屋で雪乃がモデルになっているとウワサの津山冬彦(奥田瑛二)の小説『甃(いしだたみ)の町』を買い「カナル・カフェ」へ行くが、そこにシャク半が現われ…。シャク半が帰り1人になった一平はレジ付近でもめている男女を目撃する。その女性がリンゴを落としたあの少女(黒木メイサ)だと気づくと、少女も一平に気づき駆け寄ってくると突然手を取り走りだした。男から逃げ切り日仏学院のカフェに入ると、少女は“唐沢ナオミ”と名乗り、フランス語を勉強中で今日はフランス語しか話さない日だと筆談を始める。一平は日本語、ナオミはフランス語と筆談という奇妙な会話をする2人。
ナオミと別れ「ルオー」に行き、ひとりナオミとの再会の感激と楽しい未来を想像してニヤニヤしている一平。すると目の前にエリが現われた。退職願を出したという一平にエリは「坂下」に戻ろうと促すが…。
田原一平(二宮和也)は、唐沢ナオミ(黒木メイサ)と再会できたことの喜びと、小宮竜次(梅宮辰夫)が板前を辞めるらしいという噂を聞いた衝撃で奇妙な夢にうなされる。目を覚ますと部屋のドアをノックする音が聞こえた。時計を見るとまだ夜中の3時前だ。訪ねて来たのは仲居の松子(高橋史子)で、昨晩の竜次が板前を引退する話は自分の勘違いだったから絶対に口外しないようにと念を押して帰っていく。
忘年会シーズンをむかえいつもに増して忙しい「坂下」。修行のため坂下エリ(福田沙紀)が夜だけ仲居として働き始めた以外は何も変わらない板場の様子に安心する一平。そんなある日、一平は坂下律子(岸本加世子)から帳場に呼ばれる。坂下夢子(八千草薫)の家出の一件で律子に怒鳴られたこともあり緊張する一平だが、律子は新しいアパートを時間があるときに見てくるように話し、怒鳴ったことを謝った。
そんな折、一平に夢子から呼び出しのメールが届く。待ち合わせの喫茶店へ行くと巣鴨帰りの夢子がガモカジファッションで待っていた。家出の件で迷惑をかけたことを謝りつつも、一平が夢子の部屋に忍び込んでから見つかるまでの様子を興味津々で聞く夢子。そして突然12月24日に行われる第九のコンサートチケットを2枚差し出した。興味がないと断りかけた一平だが、ナオミのことを誘う口実を探していたことを思い出しもらうことに。しかし夢子から「エリを誘ってあげて」と言われてしまい…。
その夜、閉店後に板場へ来た律子は仲居頭の澄子(森上千絵)を呼ぶ。料理に使用した魯山人の皿が欠けていたとお客から注意を受けたことを「恥をかいた」とすごい剣幕で怒り出す律子は、澄子に帳場に来るように言い渡して去る。律子と入れ替わりに入ってきた夢子が優しくフォローするが、一平が帰るまで澄子は帳場から戻ってこなかった。
翌日の昼休み。あれから連絡のこないナオミのことが気になっていた一平はナオミの勤めるケーキ屋に足を運ぶ。一平がガラス張りの工房の中で仕事に打ち込むナオミを見つけ見とれていると目の前に突然エリが現われた。エリは一緒にいた友達を中川時夫(横山裕)に紹介するつもりだと言う。24日のコンサート帰りにWデートをしようとエリが一方的に盛り上がる中、一平の携帯電話に着信が…。なんとナオミからの電話だった。
後日、その日が田原雪乃(高島礼子)の誕生日だと思い出した一平は雪乃をフランス料理店へ誘う。ナオミとのデートを考えて予行練習のつもりだ。しかし、そこで雪乃から「坂下」に様々な動きがあることを聞き…。
田原一平(二宮和也)は相変わらず奇妙な中川時夫(横山裕)の寝言を聞きながら目を覚ました。どうにも夢の内容が気になる一平だが、本人は覚えていないという。最近、仕入れには来ないことが度々ある坂下保(高橋克実)を除き、小宮竜次(梅宮辰夫)と市場に向かった一平と時夫。市場で竜次の知り合いに声をかけられ寿司屋に寄って朝ごはんを食べていると、その男は有名な料理店の板前で竜次とは板前同士が集まって行われる“勉強会”の仲間だという。竜次ほどの板前でも日々勉強していることに驚く一平。
一平らが「坂下」に戻ると、坂下律子(岸本加世子)が全従業員を杉の間に集めた。そこで「坂下」の経営が苦しいこと、高層マンション用地に土地を売り渡すこと、そして来年3月で「坂下」を閉店することを決めたと涙をためながら話す律子。再来年夏には新しいマンションの1階で規模を縮小した「新・坂下」を始める予定だが、とにかく閉店までは今まで通り働いてほしいと頭を下げる律子に誰も何も言えないままだった。昼休みになり、近所のそば屋に集まった一平、時夫、仲居たち。閉店以降、自分たちはどうなるのか不安な面々は誰が「新・坂下」に残れるのか探り合いだ。
「坂下」売却の話は方々に知られることになり、マンション建設反対運動に参加しているお客から予約キャンセルが入る。その夜の閉店後、マンション建設反対運動の人たちが「坂下」にやって来た。何を話しているのか気になる一平たちは店に残っていたが、竜次に言われ帰ることに。帰り道、一平の足は自然に唐沢ナオミ(黒木メイサ)が勤めている菓子店「ラムール」に向いていた。店から出てきたナオミに声をかけ、家まで送ることになり一緒に並んで歩く2人。ナオミがフランス語を話す日だったため会話はほとんど無いままだったが、別れ際にメールするとのナオミの言葉に舞い上がる一平。
翌日、一平は松子(高橋史子)から昼休みに律子が待つコーヒー屋に行くようにと耳打ちされる。他の人に内緒と聞き、複雑な思いを抱えコーヒー屋に向かった一平だが…。その帰り道、坂下夢子(八千草薫)とばったり会った一平は誘われるまま「パティオ」に入る。夢子はクリスマスの日は坂下エリ(福田沙紀)をよろしくといいつつも最後に気をつけてと一言付け加えた。その夢子の笑顔に不安を覚える一平。
その夜、ひのきの間は律子が取ってきたベンチャー企業の若い人たちが集まりどんちゃん騒ぎを繰り広げていた。竜次が他のお客に迷惑だから声を落とすようにお願いに行ってもまるで効果がない。そして事件が起きた。杉の間にいた常連客である“パイプの会”の平山がトイレに席を立つが、帰りに廊下でひのきの間から飛び出してきた酔っぱらいの客にぶつかり転んでしまう。その拍子に腰を強く打ってしまい動けなくなった平山は、救急車で病院に運ばれる事態にまでなるが、酔っぱらっているひのきの間の一行は気にする様子もない。それを見た時夫は…。
早朝、田原一平(二宮和也)が中川時夫(横山裕)を起こすと、時夫は昨晩、客を殴ってしまったことへのケジメをつけるために店を辞めると言い出した。そんな時夫に一平は「男が仕事を辞めるなんて軽々しく言うな」と自分が竜次に言われた言葉を使い時夫を仕事に引っ張り出す。小宮竜次(梅宮辰夫)もケガの具合を聞いた以外は気にするなと言うだけだった。
「坂下」に行くと、時夫は坂下律子(岸本加世子)に謝まろうとするが無視されてしまう。そんな中、一平のところへ坂下エリ(福田沙紀)が近づいてきた。エリは、律子の機嫌をそこねるのはまずいからクリスマス・イブのWデートはキャンセルし、2人だけで楽しもうと提案。浮かれているエリに一平は田原雪乃(高島礼子)に言われた、婿に狙われているという話を思い出して憂鬱な気分になるのだった。
昼休み。控室では仲居たちがまかないを食べながら律子と坂下保(高橋克実)の噂話をしていた。昨晩の事件のことで言い合いになったが、結局は保は律子に言い負かされたらしいという話を聞いて複雑な思いの一平は席を立つ。パチンコ屋へ行くと保を見かけるがあえて遠い席に座る一平。すると携帯に唐沢ナオミ(黒木メイサ)からメールが届く。なんとクリスマス・イブに「カナル・カフェ」で行われるコンサートへの誘いだ。かなり魅力的な誘いだがエリとの約束もあり一平が悩んでいると背後に保が立っていた。慌てて携帯を閉じる一平。保に誘われ喫茶店「ルオー」へ行くが、話しながら何度もため息をつく保の姿に婿養子の哀愁を感じる一平だった。
閉店後、ボーナスを渡された一平は竜次を誘って飲みに行く。竜次に板前を辞めるという噂の真偽を確かめるが、竜次の返事は…。また、自分が「坂下」の婿養子にされるかもしれないと相談をする一平に竜次は自分の道は自分で決めろと言うのだった。その夜、帰宅した一平は坂下夢子(八千草薫)からもらったコンサートチケットを時夫にあげてしまう。
クリスマス・イブ。一平は「カナル・カフェ」でナオミとゴスペルを聴いていた。日本語が話せる日にも関わらず無口なナオミに戸惑う一平だが、ナオミは正月休み中にフランス料理を食べに行こうと誘ってきた。喜んでOKする一平。
一平がアパートへ戻ると、シャク半(松重豊)が待ち構えていた。夢子にエリの監視を頼まれてコンサート会場に行ったが、開演早々にエリと時夫が次々に飛び出してきて、そのまま姿が見えないという。事情をうまく説明できず青ざめる一平は「坂下」に呼び出され…。
田原一平(二宮和也)は、クリスマス・イブに坂下エリ(福田沙紀)と行く予定だったコンサートに中川時夫(横山裕)を行かせ、さらにそのことで傷ついたエリを時夫がなぐさめていたせいで2人の帰宅が遅くなり、坂下家で大問題となってしまった。坂下律子(岸本加世子)をはじめ坂下家の怒りを買ってしまった一平は、その晩、一睡もせずに策を練っていた。朝4時、隣で寝ている時夫を無理矢理起こし、「おそらく坂下家の誰もが口を利いてくれないが数日間で正月休みになるのでそれまで耐えろ」と言い聞かす。築地市場へ向かう車内で小宮竜次(梅宮辰夫)に時夫に非がないことを訴える一平。
「坂下」に行くと専門業者による土地の測量が行われていた。「坂下」売却に向けての動きが始まったのだ。そして案の定、律子とエリは一平と口を利こうとしない。
12月28日。年内最後の営業が終わり、翌日が早いという竜次を除いた一平、時夫、仲居たちが居酒屋で納会を行うが、話題はもっぱら「坂下」売却や「新・坂下」での雇用のことで持ちきり。お酒の勢いもあり仲居たちの本音が炸裂する。納会がお開きになり、一平は泥酔している澄子(森上千絵)を家に送り届けることになった。部屋に着いてなんとか澄子をベッドまで運んだ一平だが、その時、澄子が…。
その帰り道、喫茶店「ルオー」に立ち寄った一平は『恋する男女のフランス語会話集』という本を目にする。聞けば忘れ物だというので、その本を借りることにした。そして「水商売の女性を年の瀬に1人にしちゃいけない」というルオー(久保隆徳)の助言を受け、一平は母・雪乃(高島礼子)の元へ向かった。雪乃は一平に好きな子がいると知り興味津々の様子で、紹介しなくてもいいから見せろとせがむ。元日に夢子(八千草薫)と、正月の習慣で神楽坂界隈にある七福神を祀った寺や神社を歩いて回る“新宿山の手七福神めぐり”をするので、一平も彼女と回れと言うのだ。雪乃は彼女が緊張しないように自分たちの存在は内緒でいいと話を一方的に進める。そんな雪乃に押し切られる形で唐沢ナオミ(黒木メイサ)に電話をした一平だったが、ナオミは意外にも快諾する。
元日。一平とナオミは朝9時に毘沙門天で待ち合わせをして七福神めぐりをスタートした。行く先々で雪乃と夢子にすれ違い、しかも少しずつ大胆になってくる2人の尾行を振り切るように歩く一平。七福神めぐりを終えた一平とナオミは4日に鎌倉にフランス料理を食べに行く約束をして別れた。その直後、一平の携帯電話に雪乃から着信が入る。ひどく慌てた様子で、とにかく「坂下」に来て欲しいと告げて切れた電話にタクシーに飛び乗る一平だが…。
正月の三が日、田原一平(二宮和也)は “こわれて”入院した坂下夢子(八千草薫)と、付き添う坂下保(高橋克実)らに弁当を届けるために板場と病院の往復で過ごす。夢子は面会謝絶のため、届けた後は病院の庭で「恋する男女のフランス語会話集」を読みながら1日を過ごす一平。
4日。一平はクリスマス・イブにナオミ(黒木メイサ)と約束した鎌倉のフレンチレストランに行くため鎌倉に向かった。ナオミが案内したのはホテルにあるフレンチレストランで、高級な雰囲気に動揺しているのを必死に隠す一平。聞けばナオミは父親とたまに来ているらしい。一平はナオミの父親は“ヤバイ人”じゃないかと話していた中川時夫(横山裕)の言葉を思い出しさりげなく職業を聞いてみると、なんと偶然後ろの席で食事をしているという。呼ぼうかと言うナオミに慌てて断る一平。ナオミは父親の職業は作家で、先日、一平が読んでいた「甃(いしだたみ)の町」を書いた津山冬彦(奥田瑛二)だという。驚いて固まってしまう一平。するとナオミに気付いた津山が2人の席までやってきて…。
ナオミと別れ、帰る電車の中で呆然とする一平。「甃の町」が津山と母・雪乃(高島礼子)との実話だという噂が本当だとしたら、自分の父親は津山でナオミは異母兄妹になってしまうからだ。その夜、一睡もせずに再び「甃の町」を読み直す一平だったが津山やナオミのことが頭にちらつき内容がちっとも頭に入ってこない。翌日、喫茶店「ルオー」に行きルオー(久保隆徳)に「甃の町」を読み返してもらって登場人物の2人が“できてる”かを問うが結局答えは出ないままだった。夕方、弁当を作り夢子の病院へ行った一平は、夢子に雪乃と津山の関係を尋ねるが…。
「坂下」の正月休みも終わりまたいつもの毎日が始まった。あれから何度かナオミからメールが届いていたが一平は返事ができないままだった。数日後、ナオミから“今夜10時、カナルカフェで待ってます”というメールが届いた。その夜、一平はある決心をしてバー「ゆき乃」に向かう。
それから数日が過ぎた閉店後、一平は小宮竜次(梅宮辰夫)に誘われ近所にある人気の店「中条」に飲みに行く。店に行くと坂下律子(岸本加世子)とは犬猿の仲という名物女将の小夜子(加賀まり子)がやってきた。「中条」の板前の修二(浜田学)も現れ、竜次に「坂下」を辞めるならここに来て欲しいとお願いするが…。修二が下がると、小夜子は数日前に律子が「中条」を訪ねて来たと話し始め…。
田原一平(二宮和也)の元へ母・雪乃(高島礼子)が訪ねてきた。小宮竜次(梅宮辰夫)に、一平にとって津山冬彦(奥田瑛二)が自分の父親かどうかは大問題だから隠すのはかわいそうだと怒られたという雪乃は一平に津山は父親ではないと断言する。信じられない一平は津山じゃないなら本当の父親の名前を言うように迫るが、それには答えようとしない雪乃。その夜、雪乃は仕事を終えて「ラムール」から出てきた唐沢ナオミ(黒木メイサ)に声をかけ、喫茶店で自分と津山のことをナオミに話し出した。
「坂下」の隣家の取り壊し準備が始まった。ゆくゆくは「坂下」もこうなるのかと切ない気持ちを抱えながら仕事をする一平たち。そんな折、一平は竜次に会わせたい人がいるとアグネスホテルに連れて行かれる。そこに待っていたのは津山冬彦で、驚きのあまり凍りつく一平。仕事が残っているからと竜次が立ち去ると、津山は数日前にナオミがやってきて、一平と雪乃が親子だと知り驚いたと言う。そして雪乃と自分の20年前の出来事を語り出した。どう答えればいいのかわからず、津山の長くきれないな指を見つめながら黙って話を聞いていた一平。さらにナオミの話を聞き衝撃で頭の中が真っ白になってしまう一平。
アパートへ戻ると、中川時夫(横山裕)から坂下エリ(福田沙紀)が高校をやめて芸者になるための稽古を始めることや、入院中の坂下夢子(八千草薫)は近々千葉の施設に移されると聞き一平は言葉が出ない。同じ頃、バー「ゆき乃」に津山が訪ねていて…。
津山と会ってからナオミのことを忘れようと仕事に没頭する一平だが、どうしても津山の言葉が頭から離れない。そんな中、一平は坂下保(高橋克実)から「坂下」が休みになる次の日曜日に夢子が千葉の施設に行くので運転を頼まれる。
日曜日。律子(岸本加世子)、保、エリに付き添われ車に乗り込む夢子。見送りに来た雪乃と竜次に明るく手を振る夢子に声を詰まらせる2人だった。施設へ到着すると、駐車場で待っていた一平のもとへエリがやってきた。学校を辞めて芸者になる稽古を始めていることを告げるエリに一平はずっと心で気になっていたことを尋ねる。
一平が千葉から帰ると「坂下」の隣家の取り壊し作業が始まっていた。大きな音を立てて崩れていく家を見つめる一平。そして「坂下」の板場には竜次の姿が…。
田原一平 … 二宮和也
田原雪乃 … 高島礼子
中川時夫 … 横山 裕
唐沢ナオミ … 黒木メイサ
坂下エリ … 福田沙紀
澄子 … 森上千絵
松子 … 高橋史子
しのぶ … 黒瀬友美
玉子 … 森囿麻衣子
ルオー … 久保隆徳
小宮竜次 … 梅宮辰夫
津山冬彦 … 奥田瑛二
坂下 保 … 高橋克実
坂下律子 … 岸本加世子
坂下夢子 … 八千草 薫
「拝啓、父上様」配信状況
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感想
このドラマを見たことがきっかけで神楽坂に憧れて、 石畳の坂を歩きに行ったし、五十番の肉まんが一番好きな好物になったという思い出がある。
そして人生で一番好きなドラマで、ドラマ放送から長年経った今でも変わらないしこれから先も変わらないと思う。
神楽坂の雰囲気が本当に最高で、自分の置かれている環境も大切にしようと思える。
このドラマ全体の独特な空気感が大好きで、ドラマの放送当時リアルタイムで見ていた。
めちゃくちゃ渋くて、大人になった今見てみると、セリフの一つ一つが理解できるようになっていて、自分も大人になったんだなと感じた。
この作品を見ていると、世の中にはどうにもならないこともあって、それでも日々は流れているから生きていかなければならないと感じさせられた。
まとめ
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